「素晴らしき日曜日」観た。パッケージには、黒澤明監督作品とは思えない、休日の何て事の無いカップルの様子云々とあるけど、自分は最近黒澤作品を観てくうちに、そのヒューマニズム性に強く感嘆してるけど、本作を観てたら、それとはまた違う印象=社会性を強く感じた。大体戦後の復興を庶民目線で描くと、仁義なき戦いみたく、闇市からたくましくのし上がる、景気、勢いのある話ばかり観てきたけど、今作の主人公は真っ当な「堅気」な社会人で、男性は兎に角お金が無い事を「惨めだ!」と嘆き、それを女性がとても無邪気に、物事を明るい側面から見るという、対照的なカップルで、この日曜日も、何処が「素敵」なんだ…と、居た堪れない事の連続だけど、二人いるから何とか切り抜けられるし、気分も変わる。そもそも、日本の戦後の一般的な大衆がみんな闇に手を出すわけもなく、殆どの人達が質素に暮らしていたという事が分かったし、でも、戦後のどさくさに上手くやれた一部の人間は金持ちとなり、ここでも現代と同じ「格差社会」の理不尽さにカップルは嘆かされる。20年位前にこの映画を観たなら、戦後って大変だったんだな〜と、他人事に思ったろうけど、まさに現代にそのまま置き換えて観れる(残念な事だけど)ので、自虐的な皮肉が笑えなかったりする。歴史は繰り返すのか、またしても、黒澤明監督の普遍性を再確認した。クライマックスのシーンは、始めは冗長に思えたけど、このシーンこそ最重要だと思った。クラシックコンサートでダフ屋に格安チケットを買い占められて悲しむ女性に、男性が、エアー楽団員に向かって指揮をして、交響曲を奏でるシーン。男性は、何度も挫けそうになるけど、いずれ奥さんとなるだろう女性が励まして…とても幻想的なシーンだけど、目に見えない事を信じる気持ちの強さ、信念の大切さ。希望を強く信じる事の大切さを、渾身の演技、演出で描き出していた。今作の脚本は黒澤監督の自伝「蝦蟇の油」でお馴染みの、同級生の植草圭之助さん。戦後の一般の人達の様子や、普遍性あるやり取り等、見事でした。追記:蛇足だけど、今思うと、国内では敵も多かったろうと推測される黒澤監督。妥協する事が、悪い意味での「大人になる」事だけど、妥協しない姿勢で監督自身が損をし、それがひいては、世界の映画、文化史に於いても大きな損をしていた事になる。それは取り返しの付かない無念な事なのだ。

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