『マキャベリ語録』ー塩野七生
●君主篇ー46

✪君主は、自らの権威を傷つけられる恐れのある妥協は、絶対にすべきではない。たとえそれを耐え抜く自信があったとしても、この種の妥協は絶対にしてはならない。

✪なぜならほとんど常に、譲歩に譲歩を重ねるよりも、思いきって立ち向かっていったほうが、たとえ失敗に終わったとしても、はるかに良い結果を生むことになるからである。

もしも、正面衝突を回避したい一心で譲歩策をとったとしても、結局は回避などできないものだからだ。
なにしろ、譲歩に譲歩を重ねたところで相手は満足するわけでもなく、それどころか相手の敵意は、あなたへの敬意を失ったことによって、より露骨になり、より多くを奪ってやろうと思うようになるのがオチなのだ。

また、思慮もない単なる譲歩策によって示されたあなたの弱みは、味方になりえた人々をも失望させ、彼らを冷淡にさせてしまうのであろう。
反対に、もしあなたが、相手の真意が明らかになるや直ちに準備をし、たとえ力が相手に劣ろうとも反撃に出ていたら、敵といえどもあなたに敬意を払わざるを得なくなるのである。

そして、他の国々も敬意を払うようになり、結果としてあなたは味方を獲得することになる。
ただし、この方策は、敵が一人である場合にかぎる。もしも敵が多数ならば、正面衝突がはじまってしまった後でも敵の誰かに譲歩を与え、戦線離脱をさせるよう計るのが、思慮ある者のとるべき策と信ずる。


#敬意 #敵 #策

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