『国家の品格-④』- 藤原正彦
●論理は長くなりえない

✪論理だけでは破綻する理由は、「論理は長くなりえない」ということです。

数学の場合、少し難しい定理になりますと、公理からスタートした論理の積み重ねがおそらく百万ステップとかいう数字になると思います。「AならばB、BならばC」というのが、百万回も続いていきます。

数学はそれでまったくOKです。なぜそんなに長い論理でもOKかと言うと、数学の場合、「AならばB」と言った時には、「完全に正しい」か「完全にウソ」の二種類しかないからです。真っ白か真っ黒。完全に正しい場合を数学的には、「確率1で正しい」と言います。まったく嘘の場合は、「確率0で正しい」。

 

確率というのは、0から1までの数字です。絶対的に正しい時は1で、絶対的な嘘が0。半分正しい時には、「確率0.5で正しい」となります。

ところが、数学の証明において使われる論理というのは、各ステップとも全部「1」です。AからBも1、BからCも1、CからDも1、ここで大切なのは、AからZまでの論理系としての信憑性は、各ステップでの確率を全部かけ合わせたものにより計られるということです。


そうすると、数学の場合は各ステップが全部1ですから、百万回かけてもその積は1のままです。ところが恐ろしいことに、どこか一箇所にでも間違いがあると、数学ではそこが0になってしまう。そうすると、仮に1が999999個

あっても、途中に0が一箇所あっただけで全部をかけ合わせると0になり、ごみ屑と同じになってしまいます。

数学とはそういう世界です。通常はすべてのステップが1だから、論理はいくらでも長くなり得る。

 

●世の中には「1」も「0」も存在しない

✪ところが一般の世の中の論理には、1と0は存在しません。絶対的に正しいことは存在しないし、絶対的な間違いも存在しない。真っ黒も真っ白も存在しない。

例えば「人を殺してはいけない」というのも、完全に真っ白ではありません。そもそも死刑という制度があって、合法的殺人が認められている。あるいは戦争になれば、敵をなるべくいっぱい殺した者が、世界中どこでも英雄として称(たた)えられます。だから、人殺しはいけないというのは、真っ白ではなく、真っ白に近い灰色です。

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