『この国のかたちー四』-司馬遼太郎
●士について-①

✪『論語』の時代になると、士の内容が飛躍し、精神的要素がつよくなる。
『論語』の泰伯篇に、「士はもって弘毅ならざるべからず」とある。弘毅とは、心ひろく、意志つよきさま。
さらに「任重くして道遠し。仁以て己が任と為す。亦重からず乎。死して而て後巳む。亦遠からず乎」と。

江戸体制はいうまでもなく身分は世襲制だった。また中国や朝鮮のように科挙の制がなかった。なかったからこそ幸いだったといってよく、もし漢文の古典を朱子学の法則どおりに丸暗記して身分上昇せねばならないような体制だったら、江戸後期の諸学は興らなかったろう。むろん、のちの近代化が不可能なほどにアジア的停滞におちいっていたに違いない。

江戸期の多数を占める下級武士の平均的な経済生活は、中以上の農民や商人よりも貧しかった。しかし、農民や商人が形而下的に生きていたのに対し、自分たちは公のために、あるいは形而上的な価値のために死すべきものだと思っていた。むろん、くだらない者もいたが、百数十万という大きな人口のうち、たとえ数パーセントでも『論語』泰伯篇にあるような気分をもっていれば、十分に社会の重心になりえた。

#論語・泰伯篇 #下級武士・形而上的な価値 #司馬遼太郎

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